「学術・研究」

核内栄養成分の可能性を語る

核酸栄養成分の可能性を語るVol.3

今、注目される食の機能性

予想をはるかに上回る勢いで少子化高齢化が進み今や日本は世界に類を見ない超高齢化社会になりました。そのことによってさまざまな問題が顕在化しています。医療費だけでも約30数兆円となり、他のさまざまな社会保障全体で見ると日本の国家予算を上回る程の額になってきています。

厚生労働省が発表した健康寿命(男性70.42才、女性73.62才)と平均寿命(男性79.55才、女性86.30才)の差は約9~13才で、この差が拡大すればするほど医療費や介護給付費などを使う期間が増大することになるため、いかにして自分の健康作りや健康寿命を延長するのかということが国を挙げての喫緊の課題になってきました。

こうした中、健康作りにおける食生活の重要さは広く認知され、健康作りに役に立つ食の機能性やエビデンスの研究も広がり、それらの研究成果をきちっと消費者に届けるような試みも始まっています。

国も規制緩和のひとつとして本来、食品には表示することのできなかった機能性をきちんとしたエビデンスがあれば表示を認めるような方向で検討が行われており、まさに食の持つ重要さや食が健康寿命延長につながる大きな一歩になると期待されています。

現在、食の機能性を評価する研究は遺伝子のレベルまで至っており、私達もこれらの研究による有効性などについては前回も報告させて頂きましたが、その後も医学部や農学系のさまざまな研究分野の先生方と連携して核酸栄養の研究を進めています。

核酸栄養成分の機能性

栄養素の概念は体を作ったり、体に必要なものを食べ物から摂取するという考え方でしたが、今では栄養成分が身体全体のシグナル伝達に関与することがわかってきました。

私達は栄養成分によって「遺伝子の働きは変わる」という考えのもと、実際に核酸栄養成分を中心とした機能性食品を摂取することで遺伝子発現がどのように変わるかという研究を行いました。

その結果、遺伝子の発現は核酸栄養成分を摂取したヒトの方がプラセボ群(核酸栄養成分を摂取しなかったヒト)より約8倍も遺伝子が働いていることが分りました。

また、核酸栄養成分を摂取したヒトは肝臓の栄養状態を反映する遺伝子が活性化していること、炎症応答に関わる遺伝子は核酸栄養成分を摂取したヒトではほとんど抑えられたこと、遺伝子修復に関わる遺伝子は核酸栄養成分を摂取したヒトではストレスを受けた時は活性化し、健常状態の時は抑制的に働いていること、核酸栄養成分を摂取したヒトではコラーゲンやケラチンを作る遺伝子の働きが活性化したこと、その他色々の遺伝子に影響を与えていることなどがわかりました。

核酸栄養成分の特徴はひとつの機能だけを高めるというよりかは身体全体の機能を高める働きで、全体の機能が高まれば自然に健康長寿が実現でき、老化も遅らせることにつながるのではないかと思われます。核酸栄養成分の老化との関係については筑波大学の坂本和一先生と共に線虫を用いた研究など、今後も力を入れて行きたいと思っております。

2014年6月10日

核内栄養成分の可能性を語る Vol.2

研究機関との協力・連携について

食の機能性に対する研究は最近、健康維持に対する関心の高まりとともに分子生物学的手法(遺伝子レベルでの解析)による評価が行われるようになってきました。ヒトにおける食の機能性の研究は難しいとされてきましたが、これらの方法を用いることによって急速に進歩してきています。フォーデイズ社はこれらの評価研究にも積極的に取り組まれています。

私たちはフォーデイズ社の全面的支援を受け、当研究所はもとより、さまざまな大学の医学部、農学部、薬学部の先生方の協力関係のもとに、最新の手法により、食の機能性等の研究をすすめております。今回はそれらの研究について中間報告いたします。

客観的でハイレベルな研究

まず、ライフ・サイエンス研究所では3名の被験者にサプリメントを摂取いただいたところ、遺伝子発現やその他のデータにおいて非常に興味深い結果が得られ、引き続き被験者の人数を増やして研究を続けています。研究の概要ですが、まずプラセボ・ジュース(栄養成分を加えないパイン味のジュース)と、もう一方には核内栄養成分を加えたパイン味のジュースの2種類を用意しました。次に、一般から公募した被験者26名を2つのグループに分け、両グループ及び研究担当者にもどちらのジュースであるかを知らせずに一定期間摂取いただきました。これは、遺伝子発現等のデータを調べるもの(三重盲検法)です。この方法は研究担当者の意図も意思も入り込むことがないため、極めて客観的なデータが得られやすく、研究所ではこうしたハイレベルな研究を続けています。

奈良県立医科大学先端医学研究機構の森 俊雄 准教授の研究ではヒトにおける最大の外的要因である高エネルギーの紫外線を照射したヒトの正常皮膚線維芽細胞や今後、3次元培養モデル(J-TEC 社)を使用し、森准教授が開発した測定法を用いて、核内栄養成分の摂取により健康維持の力が高まっているかどうかを評価する研究が進行中です。

遺伝子発現を網羅的に解析

また、東京大学大学院農学生命科学研究科ではマウス等を使って遺伝子発現を網羅的に見る、いわゆるニュートリゲノミクスの研究が進んでいます。

この研究の概要は、できるだけ核酸を除いた餌と核内栄養成分を加えた餌を健常なマウスとトランスジェニックマウス(いろいろな病気を自然に発症するようにしたマウス)の2群に与え、肝臓や腸管などさまざまな臓器における遺伝子発現を網羅的に見るもので、まずは健常なマウスを用いた結果が報告されました。今後、健康寿命の延長という観点からトランスジェニックマウスやヒトの場合などでどのような変化が現れるかとても楽しみです。

以上、現在行われている研究の途中経過のご報告をさせていただきましたが、今後も成果が発表され次第、ご報告いたしますので、楽しみにお待ちいただきたいと思います。

核内栄養成分の可能性を語る Vol.1

健康維持の実現を目指してさまざまな研究が行われている中で、食と健康維持とは非常に深い関係があることが明らかにされてきています。特に最近は食の持つ機能性が注目され、良いものをしっかり食べることによって病気に強い体を作り、健康維持を実現させることが認知されつつあります。我々もまた、様々な機能性をもつ核酸に注目して研究をしてきました。

私たちの細胞の核内に含まれる核酸が体にとって重要なのは言うまでもありません。他にも核酸と一緒に存在しているタンパク質などにも同じような機能のあることが現在では良く知られてきています。

核酸にはDNAとRNAがあって、我々はDNAの補給源としてサケの白子に、RNAの補給源として食用酵母、特にビール酵母に注目しました。日常生活の中で、核酸あるいは核内栄養成分がどれだけ摂取されているのかを把握するのは非常に難しいことです。主食の米や小麦の場合、核酸や核内栄養成分は胚芽の部分に含まれていますが、その胚芽の部分が取り除かれている現代の食生活では当然不足していると考えられ、核酸や核内栄養成分が豊富に含まれているサケの白子や酵母を含む食品から不足分を補うことはとても有意義であるとの思いで研究を進めてきております。

栄養素の過不足がどのように体に影響を及ぼすかということを科学的に検証することは、従来の医薬品を評価するような方法では難しい面がありました。しかし近年、生命科学の分野が非常に発展してきたこともあり、遺伝子発現やタンパク質の状態を調べることによって、それを評価できるようなバックグランドが確立してきました。

また、核内栄養成分の中でDNAは化粧品材料としても既にフランスなどを中心に使われていて、生体内にも存在する高分子化合物ということで非常に安全性も高く、美容にもよいようですが、DNAを含む核内栄養成分を低分子化した成分にもさまざまな機能があることがわかってきました。例えばDNAはそれを構成しているヌクレオチドが高分子に繋がってできていますが、ヌクレオチドが数個つながった“オリゴヌクレオチド”は注目の成分です。大学等では美容に関する最先端の研究が進められています。

現在、日本の医療費は30兆円をはるかに超えておリ、このまま病人が増え続ければ2025年には介護を含めると90兆円を超えるのではないかとの予想もあります。“病気をいかに防ぐか”ということは社会的緊急課題であることから、食の持つ機能性が病気予防に繋がるような産業は今後大きく伸展していくことが期待されています。

フォーデイズ社は研究助成にも積極的に取り組まれ、現在、フォーデイズ社の全面的な研究助成によって昭和大学、東京大学等々でも検証を行っておリます。このような検証によって食の持つ機能性などが解明され、食生活の改善の啓蒙がされることによって、健康維持実現に大きく貢献できるということを期待しております。

宇住 晃治先生

ライフ・サイエンス研究所代表
宇住 晃治先生
東京大学医学部卒業。医学博士。
NPO法人KYG協会 理事長、医療法人社団KYG医療会 会長
KYG協会