核酸
About Nucleic Acid

遺伝子レベルで健康を考えるフォーデイズが着目した”核酸”[DNA・RNA]

DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)のことを核酸と呼びます。DNAは、主に細胞の核の中にあり、「親から子へ、細胞から細胞へ」性質を伝える遺伝子の本体として働いています。 RNA は、DNAの情報に基づいてタンパク質を合成する働きを担っています。 このように生命活動の根本を担う核酸は、 私たちのからだを構成する約37兆個の細胞一つ一つの中に含まれており、核酸の栄養学的な側面についても注目が集まっています。

核酸について

遺伝情報を担う「DNA」

ヒトの標準的な細胞核の大きさは0.005~0.008mmですが、この小さな核の中に約2mものDNAがつまっています。
DNAは、二重らせん構造をしており、図のようなヌクレオチドが結合し高分子化しています。ヌクレオチドを構成している塩基は4種類あり、この塩基の並び方(塩基配列)によって、「どのようなタンパク質をどこでどのくらいつくるか」という情報を規定して、その結果、体質や性質が決定されます。
DNAは、核内でヒストンと呼ばれる小さな糸巻のようなタンパク質に巻き付いて凝集され、染色体へとまとまっています。染色体は、細胞一つの中に母方・父方由来のものがそれぞれ23本ずつ(22本の常染色体と1本の性染色体)あり、対になって存在しています。性染色体にはX染色体とY染色体があり、ヒトの場合ではXXだと女性に、XYだと男性に性が決まります。
染色体として存在するヒトのDNAの塩基配列はおよそ30億にものぼりますが、遺伝情報をもつ部分(遺伝子)は全体の約2%であると言われています。それ以外の部分には、ノンコーディング領域と呼ばれる領域が含まれており、大部分は意味を持たない領域であると考えられていましたが、最近の研究ではこの領域にも遺伝子発現制御等の生命活動に必須の情報が含まれている可能性が示唆されました。
遺伝子は、染色体上の決まった場所にあり、染色体全体にわたって「どこに何の遺伝子があるか」を調べる研究(ゲノムプロジェクト)が進められ、ヒトの遺伝子地図である「ヒトゲノムマップ」が作成されました。現在では、それを基にポストゲノムプロジェクトとして様々な研究が始まっています。

遺伝情報を担う「DNA」

自己複製能

生命にとって細胞は最小単位であり、生命の連続性や成長は細胞分裂(自己複製)に依存しています。細胞分裂の際、親細胞(もとの細胞)から娘細胞(新しくできる細胞)に遺伝子の情報が伝達されるためにはDNAの複製が必要になります。DNAが複製されるには膨大な量のヌクレオチドが必要とされています。体内では2つの合成経路を使ってヌクレオチドを合成しており、核内にはヌクレオチドが大量にプールされていますが、加齢とともに合成量の低下が報告されており、またそれらの減少量と老化との相関関係が示唆されています。
私たちの体には、30億もの塩基配列を間違いなく複製するために、複製の際に間違った遺伝子配列を除去して正しく直したり、体内の活性酸素などにより傷ついたDNAを修復する「DNA修復機構」が存在します。遺伝子の配列に間違いが起こると、正しいタンパク質をつくることができなくなる可能性があるからです。

DNAの遺伝子情報に基づきタンパク質合成に関与する「RNA」

RNAは、主にDNAの情報をもとにアミノ酸を結合させて、タンパク質を合成する役割を担っています。 RNAはDNAと同じくヌクレオチドから構成されますが、塩基はDNAと同様のアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、そして残りの一つはウラシル(U)です。全体構造はDNAと大きく異なり、DNAが二本鎖で存在するのに対し、RNAは一本鎖です。
RNAには、タンパク質の合成に関わる3種類のRNA(メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA (tRNA)、リボソームRNA (rRNA))があり、図のようにDNAと協調してタンパク質の合成を行っています。 タンパク質を構成するアミノ酸は約20種類ですが、体内では摂取したアミノ酸などをもとに新たなタンパク質の合成が行われ、約10万種類ものタンパク質が作りだされています。遺伝子の塩基配列は、タンパク質をつくるためのアミノ酸の並びを指定しており、塩基が3つ1組になって1つのアミノ酸に対応しています。タンパク質の合成は、次のような順序で行われます。
(1)DNAの二重らせん構造がほどけ、必要な部分だけがmRNAに写し取られます。(転写)
(2)mRNAの情報に基づいてtRNAが必要なアミノ酸を集め、細胞質の中にあるrRNAとタンパク質で出来ているリボゾームに運び、そこでアミノ酸を繋ぎ合わせて必要なタンパク質を合成します。(翻訳)

遺伝情報を担う「DNA」]

遺伝子の発現を制御する

私たちの体は、形や大きさ、働きの違う約37兆個の細胞から成り立っていますが、それらの細胞一つ一つの核の中には、等しく全遺伝情報が含まれています。働きが異なるたくさんの細胞がそれぞれの個性を発揮し、協調して役割を果たせるのは、それらの全遺伝情報のうち、働いている遺伝子の組み合わせが細胞ごとに違うからです。「遺伝子が働く」「遺伝子が発現する」とは、その遺伝子の情報をもとにしてmRNAが合成され、タンパク質がつくられることです。体内では、外部環境や体内の変化に対応して体内を適切な状態に保つために、常に調節が行われています。このように個々の遺伝子は、いつ、どの細胞で、どのくらい発現するかということを種々の機構によって制御されています。その遺伝子の発現制御には、大部分の遺伝子で転写(遺伝子からmRNAがつくられる)段階での発現調 節が重要であるとされてきました。そして近年、タンパク質合成に関与しないRNAの中に、miRNAやsiRNA等が発見され、転写後で遺伝子の発現を制御するという働きがあることが明らかになりました。ヒトゲノムの解読終了以来、RNAの新たな重要な働きのひとつとして「RNAが遺伝子発現を制御する」ということが明らかになっており、注目されています。